美味しい出来事


「ただいまぁ〜」

玄関の扉を開け、部屋中に届く様な大きな声で
帰りって来た事を知らせると
奥の部屋から
スーツ姿の長身男性が玄関に向って歩いてくると
2人の前で止まり

「お帰り」

と、言葉を掛け迎え入れてくれた。

将は荷物を置きに自室の戻り
は手に持っていたお重を流し台に
持って行き、スポンジに洗剤を付け洗い始めた。
汚れを残さない様、角も気を使いながら洗い終わると
水を出し、洗剤を洗い流す。

身長が足らないのか、背伸びをしながら
細かく動くを見ながら、功は
首を上下に動かしながらナニかに納得していると
練習で使った、タオルや服を手に持ち
功の後ろ姿に苦笑をしていると
さっきまで聞こえていた水の音が止み
洗っていたお重の水分を拭き取り、
元の位置に戻す為、振り向くと
不思議そうに首をかしげ、功と
その後ろにいる将を見

「2人共どうしたの?」

そんな言葉をかけると
営業スマイルより爽やかな笑顔で

「なんでもないよ。お重は洗い終わった?」

に言葉をかけると、

「うん!ほら綺麗になったでしょ」

と、言いながらは手に持っていた
お重を前に突き出し、無邪気な笑顔笑った。

の笑顔を見た功は、光の様な速さで
に近寄り抱き上げると

は元気だったか?九州では友達は出来た?
 苛められてないか?」

多数の質問をに問う。

そんな功の行動に慣れているのか
マイペ−スに1つ1つ質問に答えていった。

「元気だったよ。友達は面白い人達が一杯できたし
 皆親切がから苛められる事なんてないよ」

「そうか、友達は面白い人かぁ」

のオカシナ言葉にも気がつかず、
功の頭の中で自動変換し気にも留められず流されていった。

そんな2人を苦笑しながら見ていた将の
お腹が鳴り、功との会話のスキンシップは一時中断し
将を混ぜ夕食の相談をし始めた。

「今日の夕御飯は何を作ろうか?」

将の質問を受けた功は、

は何が食べたい?何でも作るぞ!」

「う〜ん・・・・あ、冷蔵庫の食材半分以上
 お弁当に使っちゃたよ」

自分が食べたい物を考えていると、フッと
冷蔵庫に入っていた材料が思い出され
2人の兄に言うと、将は慌てて冷蔵庫に駆け寄り扉を開け
功はを抱いたまま、将の後ろから扉の開いた
冷蔵庫を見た。

の言うと通り、冷蔵庫には食材は少なく
一品作れるかどうかの食料しか入ってなかった。

「どうしょうか・・・・・・・」

「外食でもするか」

2人の兄の会話を聞くと
すまなさそうにが謝った。

「ごめんなさい」

が気にすること事はないさ。弁当を作ってくれ
 と、頼んだのは俺なんだし。
 そうだ!、おでんは好きか?」

功の質問に俯きながらもは答える

「おでん?好きだよ」

「良し!じゃぁ俺が美味しいおでん屋さんに
 連れて行ってやろう」

を抱いたまま玄関へと向った功の後を
将が続き、途中自室の戻りサッカーボールを
片手に持ち、扉にカギを閉め、しばらく歩いていると
川沿いの土手へ出、何本か橋を通りすぎると
川原に光照らされた屋台が見えてきた。

土手から、川原を結ぶ階段を下り
屋台に近づくと男性が

「いらっしゃい」

と、言葉をかけられ功はを抱いたまま
座り、その後に続いて将も長椅子に腰掛けた。

「こんばんわ。おやっさん」

親しげに挨拶を交わしてゆく兄2人を
不思議そうに見ていると、
功がの紹介をし始める所だった。

「おやっさん、この子は妹のです」

「初めまして、風祭です」

功の膝の上に座り、自己紹介をした後
深々と頭を下げると、おやっさんは何も言わず
お皿におでんを乗せ、目の前に出してきた。

「話は良く功ちゃんから聞いている、おでんで
 好きなのは、大根と卵と餅入りあげなんだろ
 好きなだけ食べな」

美味しい匂いと自分の好物なものが乗ったお皿を
受け取り。割り箸を割って、食べやすい様に切りながら
食べていく。

笑顔でおでんを食べていくを見ながら
功も将もおやっさんが取ってくれた、おでんを
食べ、話をしてゆく。

「功兄、食べ終わったら少し練習して行くから
 先に帰ってて」

「折角、兄弟が揃ってるのにそれはないだろう」

「そうだよ。遅くなっても良いから一緒に帰ろうよ」

功との言葉を聞き、解ったと頷くと
お皿に乗っていた大根を食べ終え、
おやっさんにお礼を言うと
足元に置いてあったサッカーボールを手に取り
ドリブルや壁打ちの練習をし始めた。

も、おやっさんにお礼を言うと功の膝の上から
下り、将の邪魔にならない様に気を付けながら
将の練習を見ていた。

何種類かの練習をし終わると、見学していた
と共に功とおやっさんに声を掛ける為
屋台に近づくと、の知らない男性を加え
楽しそうに話しをしていた。

声を掛けるにも、どう掛けたら良いか解らず
助けを求めるように将の顔を見ると
の言いたい事が解ったらしく
微笑み

「こんばんわ。松下コーチ」

そう、声をかけると、声を掛けられた人物も
将と同じ様に挨拶をし、将の横にいる
に気付き声を掛けてきた。

「その子が、今話していたちゃんか・・・」

礼をし挨拶をする将を見ていると、自分の名前を
呼ばれ慌てて自己紹介をする。

「今日九州から来ました、風祭です」

将と同じく言葉の後に礼をすると

「俺は桜上水でサッカーのコーチをしている
 松下左右十だ。よろしくちゃん」

右手を軽く上げ、タバコを左手に持ちながら
の自己紹介をしたのち、視線をから
将に移し、

「風祭、明日の練習は休みだ。
 ゆっくり休養を取って明後日は何時もの時間から
 練習だ」

「はい」

休みと聞いた瞬間、残念そうな表情をするが
明後日何時もの時間と聞き
嬉しそうに頷いた。

「さて、サッカーの事も聞けたそろそろ帰るか」

功の言葉に、将も頷き
おやっさんと松下コーチに
「おやすみなさい」
と、声を掛け屋台を後にし、
行きとは違いは功と将の間に挟まれ歩いて帰った。

自宅に帰り、ゆっくり座り色々な話をしゃべりながら
くつろぎ、1日は終っていった。